もうカメラマンは儲かりません
雑誌や広告の写真を撮るフリーのカメラマンになろうなんてバカなことは考えるな。
もうフィルムでやってた頃とは違うんだ。儲からないぞ。やめておけ。
このサイトではカメラマンのおもしろネタを提供する。
笑って読んでくれたら嬉しい。でも、間違っても自分がストーリーの一部になろうなんて考えちゃいけない。
広告の仕事は単価が高いがコロナ以降出稿本数も減っている。
電車の吊り広告をよく見てほしい。空きスペースだらけだ。それに、JRに乗っていたらJR系の広告、東急線に乗っていたら東急グループの広告といった自社広告みたいなもの、健康食品やらサプリなど、いかにも単価の安そうな広告ばかりだということに気づくだろう。本当に広告出稿が激減しているのだ。
なので我々も今持っている仕事は必死に守ろうとする。手を抜いた仕事なんて絶対しない。むしろやりすぎなんじゃないか?というくらい120%、いや150%くらいの頑張りで仕事をする。
タレントが不祥事を起こすと広告が取り下げられて損害賠償が…なんて話を聞いたこともあるだろう。
コンプライアンスに厳しい昨今、自社の広告を撮影したカメラマンが何か事件を起こせば最悪広告の取り下げなんてことも可能性としてはある。タレントなら多額の損害賠償を請求されても数年かかって支払うことができるかもしれないがフリーのカメラマンが数千万〜下手したら億単位の賠償を払えるなんて誰も思ってない。
だから安心できるカメラマンにしか仕事を出さない。
経験値も実績もある周りに優秀な仲間(デザイナー、スタイリスト、ヘアメイク、モデル)がたくさんいるカメラマンと新人カメラマンが戦って新人カメラマンが勝とうというのはかなり厳しい。
仕事を発注する制作会社や広告代理店の人間も自分の選んだスタッフが何かをやらかしたら自分の立場が危うい。だから守りの姿勢で人選をする。つまり新人が入り込む隙が殆どないのだ。
仕事は減っている、カメラマンの数は減らない。普通の会社員なら定年退職しているような歳のカメラマンもまだまだ現役で撮り続けている。
となると少ない仕事を取り合うので仕事が減る分収入が減る。この先画像生成AIも進化していく。カメラマンの仕事は今後さらに減っていくだろう。
儲からないと書いたのはこういう理由からだ。
現実的な数字を出してみる
冷静に考えてみろ。プロ用のミラーレス機2台買ったら120万円、使えるのは3〜4年、粘って5年で買い替えだ。
レンズはもう少し長く使える。7〜8年だ。
それでも大三元揃えて、100万円、最悪の場合のバックアップに本当は単焦点レンズ数本欲しいのを高倍率ズームで誤魔化して15万円
MacBookProと外付けHDD類、ペンタブレットにサブモニターで70万円
Macは減価償却5年のくせに3年もすれば役立たずだ。
そしてソフトウェア代がサブスクでとられる。
車、ストロボ、足傘、バック紙、ペーパーサポートetc…
月いくら稼いだらペイするんだ?
それだけの単価の仕事取れるか?厳しいよな。ギャラから経費を引いたらどうなる?全然稼げないだろ?
営業も経理もスケジュール管理も自分でしなきゃいけないんだぜ?確定申告とかマジで面倒くさい。やらないと税務署に更にカネ巻き上げられるんだ。もちろん年金は国民年金
将来に備えて蓄えておかなきゃジジイになってから生きていけない。定年ないから歳取っても撮影できると思ってるか?甘いぜ。重たい機材たくさん持って一日中歩き回れるか?老眼でファインダー覗くのキツいぞ。そして何より、歳取ったカメラマンは嫌がられるんだ。誰だって自分より下の立場の人間にオーダーした方がやりやすいだろ?歳取ると仕事は激減する。45過ぎると顕著に依頼が減るぞ。
写真は趣味でやるなら最高だ。でも仕事となると別だ。
普通に働いて安定収入得た方がいい。
今現在社会人でもう既に仕事をしていてカメラマンに転職しようかな?と思っているそこのキミ、写真が好きなら正解は休みがたくさん取れて給料が高い仕事に転職する!だよ。
休みが多くて給料が高けりゃ撮影旅行だって行き放題、機材だって好きなものが買えるんだ。
仕事用ならNikon、Canon、SONY以外のカメラだと白い目で見られる。
趣味なら別にライカ買ったって誰も文句言わない。あ、奥さんには文句言われるかもしれないな。
仕事では好きな写真を撮ることはできない。こう撮ってほしいと必ず指定がある。
趣味なら好き勝手に撮っていい。誰にも文句は言われない。
副業カメラマンが最も割に合わない
副業としても勧めない。むしろ一番損なポジションだろう。
安い報酬で撮影させられて責任だけは重く、せっかくの休日を無駄にする。
カメラマンになろうとスクールに通ったり、謎の講座を受講するよりも転職サイトに登録しよう。
スクールに通ったり講座を受講してカメラマンになったところでそういうカメラマンに回ってくる仕事は小学校の運動会を1日中歩き回って撮影、結婚式のカメラマンやってスーツ姿で周りに気を遣いまくって撮影して交通費込み、日給15000円〜20000円とかだぞ。ひどい話だ。機材代すらペイしない。
儲かるのはスクールや講座の主催者か、新郎新婦からは数十万の写真代を取っておきながらカメラマンにはお駄賃程度の報酬しか払わない結婚式場くらいのもんだ。写真スクールや写真講座を検索するならカメラマンの求人も検索してみてほしい。一気に目が覚めるだろう。
仕事で使うカメラが壊れても仕事として請けた以上「カメラ壊れたのでできません」なんて言えない。じゃぁ、レンタル代を自腹切って仕事したら?仕事で使うレベルのミラーレス機のレンタル代は20000円〜25000円/1日が相場だからレンタル代だけで赤字
我々本業のプロカメラマンには修理中にプロサービスが代替機を貸してくれる。副業カメラマンではプロサービスには入れない。
リスクとリターンで考えたら確実にお金が手に入る分、近所のコンビニとかでバイトした方がいいんじゃないか?
ハローワークか何かで麻生太郎が若者に「かっこいい仕事は給料が安いぞ」って言ってた映像を見たことがある。それは間違ってない。やってみたい人が多い分だけ安く叩いても人が集まる。安く叩いて懐に入れてる奴がいる。
副業でカメラマンやるのはそんな奴らに上前をはねられた上に労力とリスクを押し付けられるだけだということを理解しておいた方がいい。
月は遠くから見るから綺麗なんだって漫画のこち亀で読んだ気がする。
カメラマンも外野から見て笑ってるのが一番だヨ
副業カメラマンの例外
「写真のセンスに自信があるからそれを活かしてカメラマンになりたい」みたいなタイプはインスタグラムで作品発表しまくってたらインスタグラム案件は来るかもしれない。
インスタ案件で副業カメラマンならワンチャンあるかもしれない。インスタ案件ならカメラはiPhoneでもいいからコストはかからないし。しらんけど。
でもインスタグラム案件と一般的な広告系や雑誌系の仕事は全然仕事の流れも違うし、インスタで案件数こなしたところで一般的な仕事の依頼を獲得するのは相当厳しいということは書いておく。
若いならまだ潰しも効くので… とは言え勧めはしない
これを読んでるキミがまだ高校生とかのレベルで若くて、スタジオマンから始めて広告カメラマン目指そうってガッツがある場合だけ、なりたいなら好きにしたら?とは思う。勧めているわけじゃないぞ。
狭き門だし、その狭き門を突破した先に夢はない。
それでもやりたいならまずは大学に入ること。
日大の芸術学部写真学科がお勧めだ。東京工芸大でもいい。
なぜこの二つを勧めるかというと、先輩がたくさんいるからだ。
学閥って言葉を聞いたことあるかな?同じ学校出身者は勝手に仲間意識が芽生える。不思議なもんだ。同じ学校出身者とそうでない奴がいて、どっちか片方選べって言われたら同じ学校出身の奴を採用したくなる。そういうちょっとしたことの積み重ねが後々ものすごく効いてくる。この辺りの話はいずれ書く。
大学を出ているか出ていないかで最終的にカメラマンになれなかった場合の仕事の選択肢が全然違う。
若い頃は「絶対になるから関係ない!」と思っているかもしれない。だが、大学を出ないで挫折して、その後仕事の選択肢がなくて…という人間を山ほど見ている。せっかくこのサイトを見にきてくれた人間にはそんな思いをしてほしくない。
専門学校行っても2年から3年はかかる。大学出と短くて1年、長くて2年の差しかない。
昔は今よりもっと上下関係が厳しくて1日でも早くスタジオに入って先輩というポジションを取ることに意味があった。今はそうじゃない。急がば回れという言葉もある。大学に行っとけ。
大学も専門学校も行かずに高卒でスタジオに入るというのは全く勧めない。
学生時代は遊ぶ時間もちゃんとある。カメラマンになりたいのに遊びは関係ないと思ったら大間違いだ。どれだけ遊んだか、どれだけ人間に幅があるかは写真を撮る上でかなり重要なファクターになる。
なんなら日芸や工芸大、美大とかじゃなくてもいい。大学時代に(単位取れるだけの最低限の勉強はしつつ)たくさん遊んだ人間の方が面白い発想を持てたりする。スタジオによっては大卒以上でないとスタジオマンとして採用しないというスタジオもあった。今はどうだかわからないが…
「写真が上手い」はカメラマンになれる素質とは関係ない。
オレは自分自身写真が上手いとは思っていない。だけど20年以上カメラマンでやってる。
必要なのは「オーダー通り、またはクライアントの希望を汲んで喜ばれる写真を撮る技術と常識を持った人間である」ということ。
大体のカメラマンは上記のどちらか、もしくはどちらもない。
9割の会社が10年で潰れると言うが、10年経ったらカメラマン志望者は2%とか3%しか残ってないんじゃないか?
言っておくけど可愛い衣装で子供を撮影するスタジオ○○○的なアルバイトカメラマンはカメラマンとしてカウントしないぞ。あれは誰にでもできるカメラを使った作業だ。町の営業写真館みたいに独自のノウハウで成立しているビジネスとは違う。町の営業写真館はピンキリあるが、素晴らしい写真館がたくさんある。ただし、今から就職したいと言っても雇ってくれるところは少ないだろう。
王道ルートこそ最強、そして切り替えの速さも必要
広告や雑誌のカメラマン目指してやるならちゃんとスタジオ入れよ。技術を身につけるには修行する以外にない。youtubeとかで4流カメラマンがやってる写真の撮り方教えますみたいなのを見てもダメだ。広告や雑誌の一線の仕事を現場で見てみないとわからないことだらけだから。
ベースが出来たら大手の広告制作会社(ヤバいところはある。スタジオで修行しながら情報収集しろ)に入るかフリーのカメラマンの専属アシになれ。そこから先は努力するのは当然として運次第だ。「無理だ!こんなところに居たらヤバい」と思ったらすぐ逃げろ。
ダメなら他の仕事をさっさと探すのが勝ちだ。5年頑張って挫折するよりも1ヶ月働いて「この会社やべぇわ」とか、「この業界イカれてるからもっとまともな世界に行こう」と切り替えて転職した方がよっぽど人生を無駄にしないで済む。切り替えの速さは重要だ。
本当に悩んでるなら…
まぁ、真剣にカメラマンになりたくて悩んでるなら問い合わせフォームから連絡してみたら?
暇な時に気が向いたら返信するかもしれない。
でも最低限のマナー位は守ってくれよ。じゃないと返信もしないからな。
もしかしたらなんか仕事紹介してくれるかも?みたいな甘い期待はするなよ。
こんなサイト作るくらいには暇なんだ。
甘ったれた相談という名の「なんとかしてください」が多そうだからやっぱり相談は有料にしちまおうかな?
もう一度言うけどオレは勧めてないからな。カメラマンになろうなんてバカな事を考えるのはやめるんだ。
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