今になって振り返ると、悲しいかな重亀の居たスタジオはダメスタジオでした。
重亀は「考えるな、言われた通りに機械的に早く動け!」という先輩の教えを忠実に守り、頭を使わず、とにかく機械のようにガシガシ働いていました。重亀が脳筋バカと言われる所以です。
その方が楽と言えば楽だしね。
無知故の…
重亀の働いていたスタジオには紗幕がありませんでした。
重亀は「紗幕」というものが存在するのを知らず、先輩から「お客さんに紗幕って言われたらこれだ!」と2200、もしくは2500のトレペを用意するように言われていた。
また、2枚重ねを希望する人、2枚ともくしゃくしゃにする人、2枚重ねのライト側だけくしゃくしゃにする人がいるが、映り込みがある撮影では2枚ともくしゃくしゃはありえない、と教わりました。
うん、映り込みがくしゃくしゃじゃいけない。重亀はお利口さんになったつもりだった。
その日は初めてのカメラマンで、確か雑誌のインタビューカットでタレント撮影
重亀がスタジオに入って半年以上経った頃、もう一人で撮影に入るようになっていました。
カメラマンは重亀に「背面紗幕をこのあたりに立てて、傘で2台4灯いれておいて!」と指示しました。重亀が「紗幕は1枚、垂らすだけでいいですか?」と聞くと不思議そうな顔をして「いいよ」と答えてどこかへ行ってしまった。
重亀はセットを組み、2500のトレペを垂らして2台4灯セットしてカメラマンの戻りを待ちました。
「紗幕だよ?」「紗幕です!」
戻ってきたカメラマンは「紗幕だよ?」と重亀に言います。
重亀は胸を張って「はい!紗幕です!」と答えると「これはトレペじゃん、紗幕ってのはそこのウエハーの前に貼ってあるみたいな白い布の大きいやつだよ」と指摘され「えっ!?それはうちのスタジオにはありません」と答えました。
カメラマンは諦めたように、「じゃぁいいや」と言ってセットはそのまま撮影することに。
(今にして思えばせめてトレペ2枚重ねにしようぜ…と。)
撮影が終わった後、スタジオの先輩にその件を話すと上の2人は紗幕がうちのスタジオにないことを理解していて、その他の先輩たちも紗幕というものの存在を知りませんでした。
そりゃ上の2人が悪いわ。
カメラマンは「ダメなスタジオだなぁ」という感想を抱いたに違いない。
環境は大事
カメラマンを目指すのなんかやめとけと毎回書いているけれど、それでもカメラマンになりたい気持ちがある若者(スタジオマンになれないくらいの年なら本当に諦めた方がいいよ)は、外苑、イイノ、六本木スタジオの3つに電話して「スタジオマンになりたいです」って言ってみるといい。今はスタジオマン志望者は少ないからどこかには入れるんじゃないか?あ、イイノは確か大卒しかダメだったと思う。
入るスタジオによって、スタジオマンのその先の運命はほぼ決まってしまう。
だからやっぱり上記3つのスタジオがお勧めだ。他にもいいスタジオはあるが、挙げていくとキリがないのでやめておく。
重亀は専属アシについて初めて自分の居たスタジオとは違うスタジオに連れて行かれて、規模の大きさや機材の種類、セット組みの仕方の違いにぶったまげた。
スタジオに入るなら機材が潤沢でいろんなお客さんが来て、いろんな撮影を体験できるというのが良い環境だろう。
重亀の居たスタジオは半分社スタみたいなものだったので、特定のジャンルに関しては他のスタジオのスタジオマンよりは遥かに出来る部分があった反面、トータルで言うと知識も不足していたしスタジオマンとしては決して優秀ではなかったはずだ。
スタジオマンをやっているとスタジオに来ているカメラマンから「ウチに来いよ」って誘ってもらうこともあるし、ロケアシに出て外の撮影を見る機会が得られることもある。
有名どころは厳しいというイメージがあるかもしれないが、最近はそうでもない。
確かに重亀がアシスタントやってた頃の外苑とか六本木スタジオはそこそこ厳しかった(重亀に言わせれば全然ヌルい)が、今はそれとは比べものにならないくらいスタジオマンは大事にされている。
いいスタジオに入れば将来が約束されるわけではないし、重亀みたいにD級スタジオの出身でもなんとか20年カメラマンを続けられるヤツもいる。
タイミングや運もあるから、スタジオが全てではない。
ただ、学閥と一緒でスタジオの先輩がたくさん居るってのはバカに出来ないポイントだろう。
なので…本気でやろうとおもうならまず動け。上に挙げたスタジオ名でグーグル検索して出てきた電話番号に「スタジオマンやりたいです」って電話してみろ。キミの物語はそこから始まるんだ。
辛 く て 苦 し い 人 生 の 物 語 だ け ど な 。
カメラマンなんてやめておけ。重亀は何回も言ってるからな。
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