ポジチェックが終わるまでビクビク
アシスタント時代のお話
重亀のアシスタント時代は当然フィルムです。
撮影はポラで大体のアタリをつけて(ポラと本番のフィルムの出方は違うのでその差も読まなければいけない)テスト現像、場合によっては再テスト現像を流してから本番現像を流します。
その時は超大手メーカーの広告の撮影でした。
もちろん重亀は完璧にカメラチェックをし、機材の整備は万全
本番を撮るスタジオで前日にテスト撮影を完璧に済ませ、テストのフィルムも現像してチェック済み
モデルの立ち位置から背景に至るまで細かくメーターを入れてデータを収集、もちろんセットキープ
翌日、本番直前に重亀が再度メーターの出目が前日のテスト撮影と変わっていないことを確かめて、スタンドイン(本番で入るタレントの代わりにアタリで入るモデルさん)でポラを切って再確認
もちろん問題無し。
準備万端整い、オールOKの確認が取れたところでタレントが立ち位置に入り、撮影開始
もちろんなんの滞りもなく撮影終了
そしてテスト現像
前日と同じエマルジョン、もちろん枝番まで揃えてあるのでラボから上がってくるテストピースも前日と同じ結果
テストの上がりは当然前日と同じ結果なので再テストは流さず本番の現像を指示
本番の上がりをラボのライトボックスで入念にチェック
ここで見るのは露出は適正であるか、ポジに傷がないか、現像ムラがないか、機材トラブルがないか、などで、タレントの表情や商品の見え方はチェックしない。あくまでアシスタントとして任されているパートで自分のミスがないのかを確認する。
現像済みのポジを受け取って事務所に帰って、師匠に「本番コレです」と渡して自分のデスクで仕事を始めた。
師匠のポジチェックが始まる。ダーマトでスリーブに採用カットとNGカット(ピンが甘いなどで見せたくないカット)の印が付けられる。
チェックが終わって「はいコレ」とスリーブの束を渡されるまで何事もなければそれで一安心なのです。
が…
重亀!ちょっと来いッ!
明らかに不機嫌そうに師匠が「重亀!ちょっと来い!」と声を上げました。
重亀の胃が思いっきり掴まれたように痛みます。そして「何を見落とした?何をミスった?」と頭の中を不安が渦巻きます。
師匠のところへ行くと「コレみろ!」とルーペを覗くように促されました。
重亀はフィルムの傷なのか、ロールホルダーに埃でも入っていて写り込んでしまったのか、不安で仕方ありません。使っていたのはフジのGX680
ホルダーの清掃は完璧にしていたはずだし、引き蓋の隙間から糸クズやゴミが出るようなことがないよう何度もチェックしたはず。一体何が…
師匠「鼻毛が出てるーッ! ったくよー!ヘアメイクのヤツちゃんとみとけよなぁ〜」
極度の緊張から解放されるとテンションはおかしなことになるもので。
「ふへっ、へへへっ…」と変な笑いしか出ませんでした。・
マジでこの十数秒の間、緊張でゲロ吐きそうだったんです…
以降、そのタレントさんをテレビでみかけても「鼻毛…」としか。
ヘアメイクは気づいていたのか、気づいていたけど言えなかったのか、どっちなんだろう?
同じような思いをしたことのあるアシスタント経験者は意外と多いんだろうなー。
撮影中にモデルの鼻毛が出ているかどうかなんてわからないよ!という方はこちらをクリック
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