作品集作ってますか?
たまには少し役に立ちそうな情報も書くことにしよう。
インスタグラムやwebサイトで自分の作品をアップしている人は多いと思います。
間口を広く、いろんな人に手軽に見てもらうことはとても重要ですよね。
インスタグラムやwebサイトで写真を見て「仕事お願いします」で済めば手軽で良いのですが、良い仕事を取ろうと思ったらプリントした作品集、ポートフォリオを持ってこちらから営業をかける必要があります。営業用の作品集は新規の仕事を取ってくる上で重要なツールです。
必ず紙の作品集は用意しておきましょう。
ではいったいどんな作品集を作ったらいいのか?
どんな仕事が欲しいのか? 今すぐに行動しよう!
いろんな種類の写真をたくさん入れておけばいいわけではないです。当然ですね。
ファッションを撮りたいのにランドスケープやら料理写真の入った作品集を作る必要はありません。
自分のやりたい仕事の方向にマッチした作品集を作りましょう。
作品はすぐに撮り溜められるものではないので、早い段階から動き始めることが重要
重亀は女性ファッション雑誌をやりたかったので、モデル事務所にお願いして新人モデルの子を紹介してもらい、仲間のスタイリスト、ヘアメイクと一緒に作品作りをしました。
ここで大事なのは人間関係です。
モデル事務所だっていきなりどこの誰だかわからないカメラマンにモデルを貸してくれたりはしません。スタジオマンをしていたらオーディションでスタジオに来るモデル事務所のマネージャーと顔見知りになることもあるでしょう。そういうマネージャーと人間関係を築いた上で「作品撮りしたいです」とお願いすれば「新人でこんな子いるので…」と紹介してくれることがあります。もちろん無料です。
スタジオマンでモデルを貸りて作品撮りにチャレンジできる機会はそう多くありません。
重亀は2年弱スタジオマンをやっていてもほぼ辞める直前くらいに2,3回撮影できた程度です。
それでもスタジオマンはマネージャーが許してくれれば休日のスタジオで作品撮りができるのでそこそこ恵まれた環境だと言えるでしょう。
アシスタントをしているともっとモデル事務所との距離は近くなります。
師匠と関係の深いモデル事務所などに作品撮りをさせて欲しいと言えば先方も喜んでモデルを紹介してくれます。師匠に相談してみるのも良いでしょう。自分のアシスタントがスキルアップするのを良く思わないカメラマンはいません。
わかっているつもりでも、自分がシャッターを切る作品撮りで得られる経験値というものもあります。
こんな時アシスタントがこうしてくれたら助かるだろうな…という気付きはたくさんあるはずです。
アシスタントとしても成長できるチャンスです。
スタイリストやヘアメイクの仲間を作ることも大切です。
普段の現場でよく一緒になるスタイリストさんやヘアメイクさんのアシスタントに「一緒に作品撮りしませんか?」と声をかければほぼ断られることはないでしょう。
皆、作品が欲しいので。
作品撮りをしていると、自分が撮りたい写真、モデルが撮って欲しい写真、ヘアメイクが撮って欲しい写真、スタイリストが撮って欲しい写真はそれぞれ違ってきます。
自分の撮りたいものだけを撮るのではなく、仲間のための写真も撮ってあげましょう。
そうして出来た仲間は先々自分が独立した後もかけがえのない戦友となります。
重亀はカメアシ時代に一緒に作品撮りしていた仲間と今でも一緒に仕事をしています。
アシスタントになっても自分の勤めていたスタジオとの関係を良好に保っておければ作品撮りの際にスタジオを使わせてもらえることもあります。
重亀も散々スタジオを使わせてもらいました。
スタジオを辞める時、募る恨みもあるかとおもいますが決して後ろ足で砂かけて辞めるようなことはしないように!
ポートフォリオブックについて
ポートフォリオブックはある程度見栄えのするしっかりしたものを選びましょう。
重亀の時代はNYにあるTHE HOUSE OF PORTFOLIOのブックが流行りましたが、最近ではコスモスインターナショナルで作る人が多いイメージです。
と言っても最近ブックを作らない、持っていないカメラマンが増えてきましたが…
コスモスインターナショナルのHPはこちら
http://www.cosmosint.co.jp
大四つ切〜A3くらいのサイズがよいでしょうか。A4だと少し小さく感じます。
ページ数が20ページだと裏表で計40枚の写真が入ります。
表紙で1枚、裏表紙部分に自身のプロフィールなどを入れて1枚ずつ減って38枚の写真を用意するのが最低ラインと思ってください。自信のある一枚は見開きにしてもOK、組み写真などでレイアウトをいじってひと見開きに複数枚の写真を入れるのもアリです。
スリーブを抜くこともできますが、少なすぎるのはダメ。実際に営業に行ってみると自分がどんなに思い入れを持って撮影した写真もパラパラパラとページがめくられていってあっという間に最後のページまで辿り着きます。たまに手が止まっても「発想がおもしろいですね」とか「うわー、綺麗!!」とか、そんな程度の言葉を発してすぐに次のページに進みます。
下記のパノディアのプレゼンテーションブックはそこそこ質感もいいので最初の一冊にはいいかもしれません。重亀はA3のものを持っていますが最近では売ってるのを見かけません…
PANODIA パノディア プレゼンテーションケース・スパイラル A4 275032
PANODIA パノディア プレゼンテーションケース・プレミアム A4 275051
プリントについて
プリントはエプソンのPX-1Vなどのプリンターを持っているなら自宅プリントで問題ない。
そうでないならクリエイトや堀内カラーなどのラボにお願いしてプリントしてもらうのが良いだろう。
ブックの中に入っている写真はお客さんに見てもらう商品サンプルなので綺麗に見えるに越したことはない。上に紹介したコスモスインターナショナルでもプリントを受け付けていたようだが、2024年6月16日現在、サービス休止中で再開の予定は未定とのこと。
作品のブックは空気感をしっかりとまとめることが大切
38枚の写真を作品ブックに入れるとして、大切にしたいのは作品集1冊を通しで見た時に統一された空気感があること。
この人の写真はこんな感じなんだと、全体を通して芯が通っていることが大切
といっても同じような写真ばかりを並べていたらダメ
スタジオもロケも寄りも引きもあって、それぞれの写真が並んだ時に「同じようなのばかりだな」と感じさせないようにしつつ、空気感だけは統一されていること。これが非常に重要です。
その時発注したい仕事がなくても「こういう写真ならあの人に…」と記憶してもらえたら勝ちです。
レイアウトや並び順などでもセンスを見せていきたいところです。
また、営業に行く先によって写真を入れ替え、先方のテイストに沿った写真を見せることも大切です。
作品集は2冊あるといい
同じものを2冊作るということではなく、純粋に作品として撮影したもので1冊、仕事の仕上がりをまとめたもので1冊作るのが重亀のオススメです。
純粋に作品だけを入れた1冊のみで営業に行っていた頃は「お仕事ではどんな写真を撮られているんでしょう?」と聞かれることが多かったです。
仕事で撮影した写真を見せるとこによって安心感にもつながりますし、「ウチでもこんな仕事ありますが、予算的にこれくらいでもお願いできますか?」といった感じに具体的な話になることが多いです。
また、営業に行って、対応する相手が1人だけということはほとんどないので、2冊作品集があると2人で交互に見てもらったりということもできます。
作品集の中にある仕事の写真の重要性
とある編集プロダクションに営業に行った際に、若い編集者は純粋な作品の入った方のブックを夢中になって見てくれました。
しかしそこの社長は「作品撮りで撮った写真は時間も予算の制約もない中で撮ったものなんだから良くて当然、そんなのはどうでもいい。仕事でどれだけ撮れるかが見たい」と仕事の仕上がりをまとめたブックしか見てくれませんでした。言わんとすることはわかります。
例えばあなたがものすごいお金持ちで、作品撮りするのに多額の予算を注ぎ込んで広いスタジオも売れっ子モデルさえも手配できるなら、1カットにものすごい時間をかけてカッコいい1枚を撮るのは比較的容易でしょう。
でも、予算や時間などの制約の中でそれなりに安定したクオリティの写真が撮れているかは仕事の写真を見ないとわからない ということなのです。
最初のうちは仕事の作品集がまとめられなくて苦労すると思います。それでも少しずつ、一件一件良い仕事を掴んでブックに入れて、ステップアップできるようにブックの中身を入れ替えつつ営業に行き続けることが大切です。
つまり…独立後しばらくはまた下積みをやると思って地味な仕事を撮り続け、少しずつステップアップしていくしかないのです。
ブックが充実するまでは独立してもアルバイト
それなりの戦える作品集ができるまでは時間がかかります。なので現状の作品でもらえる撮影の仕事を頑張りつつ、アルバイトで凌ぐことになります。
それでも今はウーバーイーツみたいな自分の都合のいい時間だけ働けるようなアルバイトがあります。独立したからと言って撮影の仕事に固執して時給1500円とかの子供写真スタジオやECサイトの撮影バイトなんてものはやめましょう。コンビニバイトより時給いいし…と思うかもしれませんが、自分の時間を切り売りしてカメラマンの価値を下げるだけです。カメラマンは技術職なんだから安く請けるのは将来的に自分の首を絞めるだけ。
ある日突然「明日撮影お願いします!」と言われても即答で「行けます!」と言える体制を作るようにしましょう。
重亀はどうだったんだ?というと…
今までいい人風に丁寧に作品集の作り方を書いてきたら、だんだんと悪い虫が騒ぎ出しました。ww
ムズムズして真面目な文章なんて書いていられねーよ。
重亀は…というと、最初はもちろん仕事がなかったので仕事の作品集は無し。
ただただ作品をまとめただけのブックを1冊もって色々な女性ファッション誌の編集部に営業に回っていました。編集者とのコネは全くなく、突然電話かけて「会ってください!」とお願いして押しかけて…
そう簡単に仕事がもらえるわけもなく、半年近く仕事はもらえませんでした。
それでもある時目利きの編集者によって重亀の圧倒的な写真の才能が見出され、初仕事をゲットしました。
↑嘘です、調子に乗りました。
たまたま他のカメラマンのスケジュールが取れなかったとかそういう巡り合わせがあったのだと思われます。重亀は運良くファッション誌で特集9ページの仕事をもらいました。
当時飛ぶ鳥を落とす勢いで売れていたファッション雑誌です。重亀はその仕事を一本取れたことにより次の営業の足掛かりを掴むことができました。
もしあの時スケジュールがガチガチに固められたアルバイトなどをしていたら、あの仕事がなかったら…重亀は今カメラマンをやっていないかもしれません。
つまり運 圧倒的に運 写真を上手く撮れる技術は当然あった上での運ゲーです。
やってられないでしょ?5年も一生懸命真面目に修行して、技術を学んで、それからあとは運ですわ。
頑張るのは当然、いや、頑張り続けるのが当然、だけど報われるかは運
重亀よりずっとセンスが良かったり写真が上手かった先輩や後輩達も運に恵まれずほとんどが一発の良い仕事を取れずにカメラマンの道から別の道へと方向転換していった。そして彼らが不幸かと言えばそうでもない。新しい環境でそれぞれ楽しそうにしている。
やめとけやめとけ。カメラマンなんてやめとけ。
もう僕、3年修行してるんですけど…どうしたらいいですか?という人に1つ良い仕事を教えよう。
プロのロケアシ、これめっちゃ需要あるよ。機材買わなくていい、体一つで現場行って仕事して帰ってくる。専属を雇わないカメラマンが増えたから、優秀なロケアシは常にひっぱりだこ。
重亀もできるロケアシの子には大事な仕事の時は一日25000円とか払ってきてもらうことがある。
ニューヨークなんかだとアシスタントは下働きではなく一つの職業として認められていたりして、ちゃんとリスペクトされているんだそうな。
ニューヨークでものすごい撮影現場を見てくるのも面白いかもしれない。
とは言えロケアシで一生食っていくのは体がしんどいので何かしら考えないといけないだろう。
多額の初期投資が必要、ランニングコストも高いカメラマンを今からめざすのはマジでやめとけ。
まだこの世界に飛び込む前なら、今すぐ回れ右して違う仕事を探しましょう。
重亀さん、悲惨な未来から救ってくれてありがとう!と思った方は感謝のしるしとして5万円分のビットコインを重亀宛に送金してください。
すまん、ビットコインってどうやって受け取るんだ?誰か教えて!
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